大学近くのアパートに住む薬学部4年の紀雄(高岡蒼佑)の部屋は、きれいに整頓され、ラッピングされたプロレスグッズに囲まれている。敬愛するレスラー・フゴフゴ夢路(富豪2夢路)に憧れる紀雄は、常に「男らしく、逞しくあれ」と言わんばかりの生きざまを信条としている。 そんな紀雄には、最近出来た恋人の綾子(つぐみ)がいる。ある日、彼女をプロレス会場で見かけて、一目惚れしてしまった紀雄は、その後、同じ大学の学生だと知って、彼女に気持ちを伝えたのだ。綾子は、紀雄のことをどれだけ好きなのかも分からないが、ここ最近は彼の部屋に入り浸っていた。汚いくつ下のまま、部屋に上がり込み、ベッドの上で食べ物を頬張る綾子に、紀雄はついぶっきらぼうな物言いをしてしまう。 ――「テメ−、絞め落とすぞ!」
それでも、綾子はただ笑って、いつでも大好きなアニメのビデオに見入っている有り様だ。そんな綾子へ向ける紀雄の本当の心の裡はこうだ。 ――「僕は彼女が初めてじゃないのを知っている……。今まで、どんな男と関係したのかを考えると気が狂ってしまいそうになる」 本当は几帳面で小心者の紀雄は、「女に負けてはダメ!」という先輩・森下(菅原永二)のアドバイスを信じ、綾子の前では“男らしく”振舞っていたのだ。 next>>>
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