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解説
“どこまでも広がる夏の青い空と半ズボンの少年たち”
ウソを隠すために、またウソをつく。自転車を持っていないことが友達にばれないように。 ウソつき少年のある夏の一日を描いた前半の子供時代には、懐かしさとちょっとの苦味が漂う独特の世界観があり、リアリティある会話、キャラクターの個性が魅力的に描かれている。誰もが身に覚えのある子供時代のどうでもいいウソ、こんなことあったっけという共感や身につまされるような思いに歯がゆさを感じるだろう。 本作で子供たちが向かう野球場も駄菓子屋も、風をきって駆け抜ける田舎道も全て深川監督自身が生まれ育った愛する風景である。

“懐かしさの先にあるものは不透明な今”ウソしか言えなかった主人公は、大人になっても相変わらずムキになってウソをつく。かつての親友との再会とともに突如現れた赤いハイヒールの女の子は、主人公にとって少し不可解なものだ。フツウと違うがどことなく噛み合っている2人の姿を目の当たりにした主人公の、心のどこかが少しずつ、うつろう夏空みたいに変化してゆく。目には見えない特別な何かが確実に芽生えてゆき、初めて好きな女の子に素直な気持ちを打ち明けられるのである。 それは主人公にとってささやかなハッピーエンドであった。

ユーモアあふれる会話とともに、時にシュールに時に温かく作品を描いているのは、次世代監督として今最も注目の深川栄洋。見事なまでにイキイキと子供たちを演出している力量は確かなものであり、これまで作った作品は全て短編映画祭等で高く評価されている。 上映期間中、毎週水曜日には前2作品の「全力ボンバイエ!」「ジャイアントナキムシ」の 特別上映を行い「自転車とハイヒール」までの道のりに迫る。

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